本日開催のKrush114。コロナ自粛明け後の後楽園ホールでは有観客では初格闘技イベントとなる。大会時間はガイドラインで3時間までとされており、休憩はなし。入場曲も後半3試合以外はカットとなった。
イベント中盤、ウェルター級チャンピオンの木村フィリップミノルが登場しベルト返上を発表。今後はK-1の勝ちを高めるべく70kgの試合に集中することを宣言した。
【試合結果】
第9試合 メインイベント Krushスーパー・ライト級タイトルマッチ
佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/王者、元Krushライト級王者)
近藤拳成(大成会館/挑戦者)
1R佐々木は右ミドルを主体に距離を計る。すると離れ際に放った佐々木の右ミドルが近藤の鳩尾周辺にクリーンヒット。乾いた音が響くと、近藤は前のめりのダウン。既にダメージは甚大だが、近藤は立ち上げり試合を続けるが、佐々木の距離を詰めることができない。2R近藤は得意のパンチを打ちたいが佐々木が距離を既に掴んでいるか。なにもさせてもらえず、ボディ、顔面と綺麗に打ち分けられてしまう。近藤の作戦はミドルに合わせてのパンチに見えるが、佐々木はスリッピングを駆使し、クリーンヒットをさせず。3R近藤は倒さなければ勝利がないが、完全に距離を支配されている。そして、苦悶の表情からはミドルで腹を負傷している可能性もある。佐々木は強引に倒そうとせず、的確に自分の攻撃だけを当て続けると、近藤は終盤強引な打ち合いを仕掛けるも、ここでも佐々木の技術が上回っており、ここで試合終了。王者が貫録の試合運びで勝利し防衛。
第8試合 セミファイナル スーパー・ライト級
鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/元Krush王者)
FUMIYA(ポゴナ・クラブジム)
鈴木2戦目、FUMIYAデビュー戦で相まみえた両者。その際はFUMIYAがKO勝利している。試合開始から左ミドルを蹴りこむ鈴木。キレが凄まじく、これだけでもFUMIYAはダメージがあるか。1R中盤、FUMIYAは場を変えるべく、強引に距離を詰めてパンチを振るう。FUMIYAの突進にカウンターで鈴木のパンチがヒット。FUMIYAは明らかにダメージを見せダウンするが、なんとか立ち上がる。後がないFUMIYAはパンチを振るって前に出ると、鈴木に数発ヒットし、鈴木もふらつく。しかし、打ち合いの中でパンチで競り勝ったのは鈴木。再度ダウンを重ねるとレフェリーが試合を止めた。鈴木はリベンジとともにパンチも武器であることをアピールする一戦となった。
第7試合 ライト級
大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)
蓮實 光(パラエストラ栃木)
前日会見での格闘IQ発言が話題となった本試合。1R大沢は距離を計りながらいなしていく。蓮實は、そこまで振るっていかない。2R大沢はジャブで距離をキープ、蓮實はジャブをもらい続けるが止まらず細かなステップを踏みながらじりじりと接近。ジャブの打ち合いの中で蓮実の飛び込みながらの右ストレートがガード横からヒット。大沢は転倒するようにダウン。大沢は否定し、ダメージはない様子。しかし、その後、蓮實のアッパーがクリーンヒットし2回目のダウンを奪取。さらに連打の中に交ぜたアッパーで完全にノックアウト。蓮實は次戦でゴンナパー戦かK-1の両国大会での4人制トーナメントを主張。
第6試合 フェザー級
桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
椿原龍矢(月心会チーム侍)
椿原は階級を上げての初戦。桝本は一時期勝てない時期が続いていたが、直近は連勝を重ね、ポジションアップを狙う一戦。椿原はいつも通り、スピードとテクニックを活かしたアウトボクシングに徹する。スロースターターな桝本はどっしりと構え消耗を狙う。手数でリードする椿原に対し、2R後半まで動きがない桝本。いつもの展開ではある。3Rここで桝本のパンチがヒット、椿原はバランスを崩し倒れこむがこれはスリップ。その後もバランスを崩しだし、桝本のペースになるかと思われたが、桝本が圧力を強めて右フックを放つところに椿原のハイキックがクリーンヒット。桝本は後ろに倒れこみ起き上がることができなかった。椿原はリング上でのマイクアピールは初の模様。
第5試合 スーパー・フェザー級
TETSU(月心会チーム侍)
提髪和希(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
提髪はどっしりと構え、TETSUのスピードに翻弄されない。1Rは提髪ペース。TETSUは鼻血を見ている。2RからTETSUはパワーでは分が悪いと察したか。手数とスタミナで足を使って的確に攻撃を当てていく。3Rも同様の展開で試合終了。TETSUの作戦が見栄え良く、階級を上げた初戦でTETSUがなんとか判定勝利をもぎとった。
第4試合 スーパー・バンタム級
蒼士(昇龍會)
鬼山桃太朗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)◎ KO
鬼山は蒼士のスピードに負けていない。蒼士はロー、カーフキックを強烈の蹴りこむが、鬼山は顔に出さずプレッシャーを掛け続ける。2R、ハイスピードな打ち合いの中で鬼山の左フックが蒼士を捕らえ、もつれるようにしてダウンを奪う。蒼士は立ち上がるが、追撃の連打を受けると再びダウン。ここでストップ。鬼山が超強豪に勝利。
第3試合 フェザー級
新美貴士(名古屋JKファクトリー)
岡嶋形徒(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)〇 判定3-0
序盤、岡嶋のストレートがおもしろいようにヒット。新美は鼻血を出している。2R以降、新美はペースを取り戻し、プレシャーをかけて挽回する。3R後半、岡嶋が巻き返し印象を残して試合終了。ここは1Rの印象と3R終盤の印象で岡嶋が強豪を下した。
第2試合 フェザー級
森坂 陸(エスジム)〇 判定3-0
勝輝(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
階級を上げてから森坂の体が大きくなっている印象。森坂は自分から積極的にプレッシャーをかけて、ミドル・前蹴りで主導権を握る。勝輝は手が出ない。3R終盤、森坂がボディーブローでダウン奪取。パンチのチカラもついている。なんとか立ち上がる勝輝。森坂はKO狙いでラッシュを仕掛けるが打ち合いの中では被弾し、攻めあぐねる。ここで試合終了。
第1試合 フェザー級
秀樹(レンジャージム) 〇 判定3-0
知良(RBアカデミー)
終始打ち合いを展開し、お互いにふらつく場面がありながらもダウンなし。それでも見どころ十分な試合となった。打ち合いの中で的確に有効打を当て続けた秀樹が判定勝利。
【雑感】
自粛明け有観客1回目のイベントだけあって、選手達の気迫が溢れ出るような興行。特に1試合目の両者は本来ならばダウンしてもおかしくないダメージをもらいながらもお互い最後まで打ち合った。少しでも長くリングに立つことを望む気持ちが具現化したともとれる熱い試合。Krushが戻ってきたと感じられた一戦。そして今回の主役は蓮實選手。試合前には大沢選手から苦言を呈され続けたが、試合の中でコンビネーションにアッパーを織り交ぜて見事な一発。豪快なだけでなく、確実に格闘IQも高くなってきている。次回はさらなる強豪との一戦が組まれるだろう。解説陣では、江川選手が先を読んだ解説で素晴らしかった。