7/19 本日開催のRISE140の対戦予想を以前しており、今回は結果を書きつつ、試合予想との比較をしていきたいと思う。
今回、ナンバーシリーズでありながらもこのカードラインナップ。RISEは本当に層が厚くなってきた。今回3試合が延長突入とRISE対他団体チャンピオンの対抗戦として成立するほど実力拮抗の試合が多く、見ごたえ十分であった。
【大会概要】
RISE140 7/19(日) 後楽園ホール
【対戦カード】
-60.5kg契約
工藤政英(新宿レフティージム 第3代RISEフェザー級王者)
髙橋 亮(真門ジム NKBフェザー級王者、元NKBバンタム級王者)
RISEとNKBのチャンピオン対決がしれっと決定。工藤はONEでは勝ち星を残せていないが、国内RISEでは連戦連勝。キモローを中心とした数々のキモ技で王者に君臨する。言われ方こそ良くないが、その技術と精密さは国内屈指のトータルファイターと言える。対する、髙橋亮はNKBを主戦場とする髙橋3兄弟の次男でNKBで2階級制覇している。こちらもテクニシャンで所謂キックボクシングルールでは国内トップレベルの選手。それでいて、旧KNOCK OUTでは小笠原瑛作らと激闘を繰り広げ、テクニックのみならずタフな精神力も特徴。展開としては、工藤はロー主体。髙橋は組みなし肘なしでどんな引き出しを開けてくるかは未知数。それでもRISEルールで実績を残し、明確な武器のある工藤が優勢に試合を運ぶと予想。髙橋3兄弟はジムをオープンしたが、所属は真門ジムのまま。
【結果】
1Rお互いローを蹴りあう。高橋はミドルも織り交ぜ威力も十分。2R高橋は奥足のカーフぎみのローを蹴りこむ。ローでは高橋に分があるか。工藤はボディ狙いに切り替える。3R高橋のロー効き目を発揮し、工藤はボディ、顔面パンチの打ち合いで勝負する。終盤は工藤のフックが的確にヒットする。どうみても実力が拮抗しており、この試合も判定に突入。序盤は高橋がローで印象付け、後半は工藤がボディで印象付ける。延長でも規定票数に達さず、ドローとなった。工藤は自力で歩くことができないほどの足にダメージを蓄積していた。高橋は初戦で王者相手のドロー、ダメージ量では凌駕していた。これは再戦があるだろう。
-72kg契約
“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館 第2代RISEウェルター級王者)
緑川 創(RIKIX WKBA世界スーパーウェルター王者、第8代新日本キックボクシング協会ウェルター級王者)
こちらも所謂キックボクシングルールの猛者、緑川創が参戦。初戦で階級アップの王者ベイノアとの一戦が組まれる好待遇。緑川は3月にRISE参戦が発表されていたが、コロナ禍で試合が流れていた。その後、4月Road to ONEに出場した後に弟分HIROYUKIとともに小野寺力率いるRIKIXに所属。今回、改めてRISE参戦が決定した。ベイノアは距離感を支配しつつ戦うスタイルで、緑川は距離を詰めてパンチ、蹴りをガンガン出していくスタイル。ベイノアが距離を保てるかが勝負の鍵になると思われるが、緑川レベルの圧力はこれまでの対戦相手とは一味違うだろう。緑川は肘と組みなしでベイノアを捕まえられるかが課題だが、日菜太戦を思い出すと意外とベイノアがうまくいなす予感。
【結果】
1R緑川の飛び込みながらのフックがヒット。ベイノアはこらえるが、追撃をもらいダウン。2Rベイノアがハイキックを効かせ、パンチでぐらつかせつも緑川は倒れない。ベイノアはパンチに固執し、逆にパンチをもらいダウン。緑川はプレッシャーをかけるも仕留めきれない。3Rベイノアは大技やパンチで猛攻。一番動きが良い。緑川は後手に回り攻撃をもらうが、頑丈で倒れない。終始打ち合いのまま試合終了。緑川は肘なしの方が持ち味が発揮できるんではないかと思わせるような試合っぷり。ベイノアの階級上げての挑戦も素晴らしいものだった。緑川はイ・ソンヒョンへの挑戦アピール。
-50kg契約
寺山日葵(TEAM TEPPEN 初代RISE QUEENミニフライ級王者、第8代J-GIRLSミニフライ級王者)
sasori(テツジム NJKFミネルヴァ日本ライトフライ級王者)
こちらも王者対決が実現。sasoriはシュートボクシング2020act1で現役王者の女神に判定勝利している強豪。女神戦では手足の長い女神に距離を作らせず、距離を極限に詰めた戦いとパンチをもらいながらの打ち合いで強さを見せて、押し勝っている。今回は完全組みなしルールのため、勝手が違うものの、寺山も距離を保っての蹴りが得意な制圧系ファイター。女神戦同様の戦いができれば、sasoriにやや分があるようにも見える。それでも蹴りのテクニックなら寺山に一日の長があり、どちらの得意な展開に持ち込むかが勝負の分かれ目。
【結果】
sosoriの圧力が凄まじく、寺山は距離を確保できない。sasoriの前身とパンチを見切りながらさばく寺山だが、時折左のパンチをもらう。sasoriは笑いながら打ち合い、さながら武尊のように見える。sasoriは終始戦い方を変えず、寺山はハイキック、ストーレート、テンカオをバランス良く当てるがsasoriが下がることはなかった。判定1-0で決着つかず、延長ラウンドへ。延長R寺山はsasoriの前進と打ち終わりに合わせてテンカオを連打。これがおもしろいように決まる。sasoriは引き出しの差で後半試合を試合されてしまった。延長で寺山の判定勝ち。sasoriの今後に期待。寺山はこのスタイルを突き詰めれば敵はいないだろう。
-47.3kg
紅絹(NEXT LEVEL渋谷 初代RISE QUEENアトム級王者)
山本ユノカ(Kick Box 元WBA女子世界ライトミニマム王者、元OPBF女子東洋太平洋フライ級王者)
紅絹や日本女子キック界の古株にして現役王者。今回の相手はなんとボクシングの元世界王者に決定した。SNSではローキック地獄を宣言しているが、作戦通りとなるか。山本の試合を見たことがないのでどれほどのパンチ力かわからないが、打たれ強い紅絹でも元ボクシング世界王者の一撃をもらればわからない。ローに山本が耐えられるか、長いジャブ・ストレートを持っているかが勝負を分けるか。
【結果】
紅絹がボクシングテクニックでも上回り、ローも効かせ判定勝利。山本は蹴りも使えるが、キックボクシングで得意のボクシングが活かせるようになれば先が見える。
-55kg契約
政所 仁(魁塾 スーパーフライ級1位、J-NETWORKフライ級王者)
大﨑一貴(OISHI GYM スーパーフライ級3位、初代WMC日本フライ級王者、LPNJフライ級王者)
両者は旧KNOCK OUTフライ級で対戦の可能性があったのが記憶に懐かしい。RIZINで肘・組みなしルールで石井一成に勝利したことでプリンス・キラーの異名をとり、名を上げた政所だが、トーナメント初戦ではキックボクシングルールで石井一成に敗れて両者の対決は実現しなかった。その点、この試合は軽量級ファンからすると屈指のカードではないだろうか。政所は一足先にRISEに参戦しタイトルマッチに辿り着くも、田丸辰にスピード差を見せつけられ敗れている。大崎も昨年よりRISEに参戦し風音を破り、RISEルールでも強さを見せた。ずばりこの両者、スピード・キレともに大崎が一枚上手と見る。政所はコロナ自粛期間でそれだけシャープな一撃を磨けたかが問われる一戦。
【結果】
パンチと身体のキレは予想を覆し政所が一歩リード。大崎はローとボディを打ち込んでいくが、政所はなかなか止まらない。それでも後半ラウンドでスタミナの差とダメージの蓄積があったか。大崎のローとボディが効果を見せ大崎ペースになりかけるも試合終了。本戦決着つかず延長へ。パンチの政所とローの大崎。ヒット数で印象つけた大崎が判定勝ち。個人的予想より政所のスピードに磨きがかかったように見えた。大崎は田丸への挑戦をアピール。
-56.5kg契約
志 朗(BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者、RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント準優勝)
清志(新興ムエタイジム/NJKFバンタム級2位、WMC日本バンタム級3位)
清志の試合を見たことがなく、現時点ではなんとも言えないが、距離の巧、志朗にどう立ち向かうか。清志はSNSでこの試合が昨日決まったとコメント。このビッグチャンスをものにできるか。
【結果】
志朗が26秒で右ストレートでKO勝利。圧巻。
-66kg契約
稲石竜弥(TEAM OJ/元Bigbangライト級王者、元MA日本ライト級王者、元APKFスーパーフェザー級王者)
KENTA(HAYATO GYM/ライト級8位)
KENTAはキャリアで勝る稲石に挑戦する。稲石も独特なリズムに翻弄されずにハードパンチを叩きこめるか。稲石は秀樹戦の敗北からトップ戦線返り咲きをかけた落とせない一戦。
【結果】
有効打では稲石、それでもKENTAは下がらず前にてパンチを当てる。稲石は変則的な動きが故に打ち終わりにバランスを崩し印象が悪いか。それでも稲石の判定勝ちと見たが、ジャッジ2者がKENTAを支持しKENTAの判定勝利。
-53kg契約
小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/WPMF女子世界フライ級王者、初代ムエタイオープン女子フライ級王者)
YAYAウィラサクレック(WSRフェアテックス幕張/J-GIRLSスーパーフライ級王者)
小林はムエタイ系の選手で、旧KNOCK OUTに参戦では伊藤紗弥、イリアーナ・ヴァレンティーノ(ガールズSカップ2018王者)に勝利し、女子格闘技の中心人物になると予想されていた。万を辞して参戦したRISE133のミニフライ級王者決定トーナメントでは計量失敗。今回は改めてRISE初参戦となる。今後は51kg辺りを主戦場とする模様。対するYAYAは初代J-GIRLSスーパーフライ級王者でこちらもムエタイルールを主戦場とする選手。試合は見たことはありませんが、小林にとってはいきなり強豪が用意された。肘の印象が強い小林はRISEルールに適応できるか。
【結果】
小林の相手はMARIに変更。階級的は随分下の選手によう。小林が終始ローを当て続け判定勝利。それでもMARIは階級上の相手の蹴りをもらい続けながらも倒れず、次の機会が与えられそうだ。